Google Apps Script（GAS）を活用して、Googleシートを自動的にPDF形式へ変換し、Google Drive内の指定フォルダへバックアップする方法をご紹介します。この記事では、実際に動作するコード例や設定手順を詳しく解説し、業務効率化とデータ保護を実現するためのポイントをお伝えします。GASの基礎から応用までをカバーするため、初めての方でも分かりやすく理解できる内容となっています。
GASとは？
Google Apps Script（GAS）は、Googleが提供するJavaScriptベースのクラウド開発環境です。GASを用いることで、Gmail、Googleシート、Googleフォーム、Google Driveなど、さまざまなGoogleサービスを連携し、業務プロセスの自動化を実現できます。プログラミング初心者にも扱いやすいシンプルな文法が特徴で、すぐに使えるテンプレートやサンプルコードが豊富に存在します。
GASの活用により、手作業で行っていたルーチンタスクを自動化できるため、作業効率が大幅に向上します。特に、定期的なバックアップやレポート作成、データの集計・通知など、日々の業務改善に大きく貢献します。
実現できる機能
GASを使った自動化のメリットは多岐にわたります。以下は、その一部の機能例です：
- フォーム送信時の自動メール通知
- シート内データの集計・グラフ作成
- 定期的なバックアップとファイル自動保存
- 外部APIとの連携によるデータ統合
- エラーログの自動記録と通知
今回は、特に「GoogleシートをPDFとしてDriveにバックアップする」機能に焦点を当て、具体的なコード例を通じてその仕組みと設定方法を詳しく解説します。
必要な準備
本記事の内容を実施するにあたり、以下の準備が必要です：
- Googleアカウントの準備： Googleの各種サービス（シート、ドライブ、Apps Script）を利用するため、Googleアカウントにログインしておく必要があります。
- バックアップ対象のGoogleシート： バックアップしたいデータが入力されているスプレッドシートを用意してください。
- バックアップ用フォルダの作成： Google Drive上にバックアップ用のフォルダを事前に作成し、そのフォルダのIDを控えておきます。
- Google Apps Scriptの編集環境： Googleシートの「拡張機能」→「Apps Script」から新規スクリプトファイルを作成し、以下のコードを貼り付けて編集を行います。
これらの準備が整えば、実際にコードを書いて自動バックアップ機能を実装することができます。
GASのスクリプト解説
下記のコードは、現在アクティブなGoogleシートをPDF形式にエクスポートし、指定したGoogle Driveのバックアップフォルダに保存するためのサンプルコードです。コード内の各コメントが処理内容を説明していますので、理解を深めながら実装してください。
/**
* 現在のスプレッドシートをPDFとしてエクスポートし、指定フォルダに保存する関数
*/
function backupSheetAsPDF() {
var ss = SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet();
// スプレッドシートのURLをPDFエクスポート用に変換
var url = ss.getUrl().replace(/edit$/, 'export?format=pdf');
var token = ScriptApp.getOAuthToken();
var response = UrlFetchApp.fetch(url, {headers: { 'Authorization': 'Bearer ' + token }});
var blob = response.getBlob().setName(ss.getName() + ".pdf");
// バックアップ用フォルダIDをYOUR_BACKUP_FOLDER_IDに置き換える
var backupFolder = DriveApp.getFolderById("YOUR_BACKUP_FOLDER_ID");
backupFolder.createFile(blob);
Logger.log("Backup created: " + blob.getName());
}
このスクリプトでは、まずアクティブなスプレッドシートのURLを取得し、PDFエクスポート用の形式に変換します。次に、認証トークンを利用してURLFetchApp経由でPDFファイルを取得し、取得したBlobオブジェクトにシート名を付けて保存します。最後に、あらかじめ設定しておいたバックアップ用のフォルダにPDFファイルを作成し、ログにバックアップ完了のメッセージを出力しています。
トリガーの設定
バックアップ処理を定期的に実行するためには、GASのトリガー機能を活用します。トリガーを設定することで、特定の時間や間隔で自動的にスクリプトを実行できるため、手動での作業が不要になります。以下は、トリガー設定の基本的な手順です：
- スクリプトエディタ上部のメニューから「編集」→「現在のプロジェクトのトリガー」を選択します。
- 「トリガーを追加」ボタンをクリックし、実行する関数として
backupSheetAsPDFを指定します。 - イベントの種類を「時間主導型」に設定し、実行頻度（例：毎日、毎週、特定の時間間隔など）を選択します。
この設定により、バックアップ処理が自動的に実行されるようになり、常に最新の状態が保存される環境を整えることができます。
初回実行時の承認手順について
GASスクリプトを初めて実行する際、Googleはセキュリティ上の理由からアプリケーションの権限承認を求めます。初回実行時の承認手順は以下の通りです：
- スクリプト実行後、表示される警告画面で「詳細」をクリックします。
- 「このアプリは信頼できません」という警告が出た場合でも、内容を確認し「安全ではないページに移動する」を選択してください。
- 必要な権限（Googleシート、Google Driveへのアクセスなど）を許可し、承認プロセスを完了させます。
この承認プロセスを通じて、スクリプトが正しくGoogleサービスにアクセスできるようになり、自動化処理が問題なく実行されます。
